パラリンピアンの大西瞳選手。NHKのバリバラの司会でも活躍されていますね。
大西選手は23歳の時、心筋炎により1ヶ月も意識不明の状態で入院していました。意識が戻った時には右下肢の壊死が進んでおり、右大腿を切断しています。今でもペースメーカーをつけて陸上に取り組んでいます。
この心筋炎という病気は、心臓の筋肉に炎症がおこります。
発症頻度は定かではありませんが、人口10万人に対して115人という報告があります。
原因
多くはウイルスや細菌などの感染症ですが、要因は様々です。
- 感染症(ウイルス、細菌、真菌、原虫...)
- アレルギー、自己免疫
- 化学物質
- 放射線、熱射病
- 膠原病、川崎病
- サルコイドーシス
- 妊娠
- 特発性
症状
かぜ様症状や消化器症状が先行することが多く、その数時間から数日後に心不全(約70%)、胸痛(約44%)、心ブロックや不整脈(約25%)などの症状がでます。軽度のものからショックに至るまで人によって症状の程度は違います。
検査
血液検査:心筋逸脱酵素上昇、CRP上昇、赤沈亢進、WBC数上昇
ECG:非特異的ST-T変化、低電位、房室ブロック
心エコー:Mモードで炎症部位に一致した運動性低下
診断
心筋生検が唯一の確定診断です。最近では心臓MRIによる診断が注目されています。
治療
対症療法が中心となり、急性期をしのぎいかに回復期につなげるかが重要です。
- 入院による安静臥床
- 心肺危機管理
ショック、低心拍出状態:IABP、PCPS
心不全症状:利尿薬、カテコラミン
不整脈:体外式ペースメーカー、除細動
ポイント
心筋炎は特異的な所見が乏しく診断は容易ではありません。単なるかぜ症状や消化器症状のあときわめて短期間で心肺危機に陥り、致死的経過をとる劇症型心筋炎となることもあり得えます。
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